章4-第4

章4-第4

 

聴:

 

 

人を食わなくなったオニ

 

ああむかしむかし、あるところに、とても気の強い男がいました。

 ある日の事、男が山で仕事をしていると突然おそろしい人食いオニが現れて、男をパクリと飲み込んでしまいました。
 でも、気の強い男の人は、少しも恐がりません。
「ほう、これがオニののどか」
 男が先に進むと、赤い壁に囲まれたところへ出ました。
 ふと前を見ると、上からひもの様な物が三本ぶらさがっています。
「なんだ、これは?」
 男は、一本のひもを引っぱってみました。
 そのとたんに、オニが大きなクシャミをしたのです。
「は、は、はっ、はくしょん!」
(なるほど、これはクシャミの出るひもだな)
 男は、もう一本のひもを引いてみました。
 するとオニは、大きな口を開けて、
「わっはっはっは、わっはっはっは」
と、笑い出したのです。
(おもしろくなってきたぞ)
 男は、最後のひもを引っぱってみました。
 するとさっきまで笑っていたオニが、急に泣き始めたのです。
「うぇーーん、うぇーーん」
(これはおもしろい。クシャミのひもに、笑いのひもに、泣きのひもか。・・・もし、いっぺんにひもを引っ張ったらどうなるだろう?)
 男の人は三本のひもを一緒ににぎりしめると、思いっ切り引っ張ってみました。
 さあ、大変です。
 はくしょん!
 わっはっはっは。
 うぇーーん、うぇーーん。
 オニはくしゃみをしたり、笑ったり、泣いたりと大騒ぎです。
 ですが男は、ひもを引っぱるのをやめません。
 オニは苦しくて苦しくて、今にも倒れてしまいそうです。
(さあて、そろそろ出るとするか)
 男は三本のひもをはなすと、クシャミのひもを力一杯引っ張りました。
 は、は、はっ、はくしょん!
 オニはもの凄いクシャミをして、口から男をはき出しました。
 男は、苦しそうに涙を流しているオニに言いました。
「やい、オニよ。もう一度飲み込んでみるか?」
「ブルブルブル。とんでもない!」
 オニは首をブンブンと横に振ると、あわてて逃げてしまいました。
 そんな事があってから、オニはもう二度と人間を食ベなくなったという事です。


 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

人を食わなくなったオニ

 

むかしむかし、あるところに、とても気きの強つよい男おとこがいました。
 ある
日ひの事こと、男おとこが山やまで仕事しごとをしていると突然とつぜんおそろしい人ひと食ぐいオニが現あらわれて、男おとこをパクリと飲のみ込こんでしまいました。
 でも、
気きの強つよい男おとこの人ひとは、少すこしも恐こわがりません。
「ほう、これがオニののどか」
 
男おとこが先さきに進すすむと、赤あかい壁かべに囲かこまれたところへ出でました。
 ふと
前まえを見みると、上うえからひもの様ような物ものが三さん本ほんぶらさがっています。
「なんだ、これは?」
 
男おとこは、一いち本ほんのひもを引ひっぱってみました。
 そのとたんに、オニが
大おおきなクシャミをしたのです。
「は、は、はっ、はくしょん!」
(なるほど、これはクシャミの
出でるひもだな)
 
男おとこは、もう一いち本ほんのひもを引ひいてみました。
 するとオニは、
大おおきな口くちを開あけて、
「わっはっはっは、わっはっはっは」
と、
笑わらい出だしたのです。
(おもしろくなってきたぞ)
 
男おとこは、最後さいごのひもを引ひっぱってみました。
 するとさっきまで
笑わらっていたオニが、急きゅうに泣なき始はじめたのです。
「うぇーーん、うぇーーん」
(これはおもしろい。クシャミのひもに、
笑わらいのひもに、泣なきのひもか。・・・もし、いっぺんにひもを引ひっ張ぱったらどうなるだろう?)
 
男おとこの人ひとは三さん本ほんのひもを一緒いっしょににぎりしめると、思おもいっ切きり引ひっ張ぱってみました。
 さあ、
大変たいへんです。
 はくしょん!
 わっはっはっは。
 うぇーーん、うぇーーん。
 オニはくしゃみをしたり、
笑わらったり、泣ないたりと大騒おおさわぎです。
 ですが
男おとこは、ひもを引ひっぱるのをやめません。
 オニは
苦くるしくて苦くるしくて、今いまにも倒たおれてしまいそうです。
(さあて、そろそろ
出でるとするか)
 
男おとこは三さん本ほんのひもをはなすと、クシャミのひもを力一杯ちからいっぱい引ひっ張ぱりました。
 は、は、はっ、はくしょん!
 オニはもの
凄すごいクシャミをして、口くちから男おとこをはき出だしました。
 
男おとこは、苦くるしそうに涙なみだを流ながしているオニに言いいました。
「やい、オニよ。もう
一度いちど飲のみ込こんでみるか?」
「ブルブルブル。とんでもない!」
 オニは
首くびをブンブンと横よこに振ふると、あわてて逃にげてしまいました。
 そんな
事ことがあってから、オニはもう二度にどと人間にんげんを食しょくベなくなったという事ことです。

 

おしまい

 
 

 
 
 
 
 
 
 
A p p   F o r   P h o n e
  • Android
  •   
  • iOS

App 4.0 ↓
A p p   F o r   P h o n e
  • Android
  •   
  • iOS 4.3