章4-第2

章4-第2

 

聴:

 

 

負けず嫌いのアマガエル

 

むかしむかし、あるところに、とてもヘソ曲がりのアマガエルがいました。

 ある日の事、アマガエルが友だちのアカガエルと遊んでいると、突然、馬のひづめの音が近づいてきました。
「あっ、アマガエルくん! こっちに馬が走って来るよ。早く逃げないと、蹴り飛ばされてしまうよ」
 しかしアマガエルは、胸を張るといばって言いました。
「ははーん、弱虫だな。たかが、馬ぐらいで逃げるものか。でも、お前は怖かったら逃げるといいよ」
「このヘソ曲がり! 勝手にしろ!」
 アカガエルはそう言うと、道ばたの草むらへと飛び込みました。
 するとそこへ、馬がもの凄い勢いで走ってきたのです。
「わぁ、わぁ、何て早さだ!」
 アマガエルも、あわてて逃げようとしましたが、馬のひづめに引っかけられて、
「グゲェーーーー!」
と、悲鳴を上げながら遠くの方へ蹴り飛ばされてしまいました。
「おーい、大丈夫かい!」
 アカガエルが心配して草むらから出て行くと、アマガエルは大きな目玉を白黒させて、目を回しています。
「ねえ。だから、早く逃げようと言ったのに」
 ところがアマガエルは、よろよろしながらも威張って言いました。
「何がだ? おいらは、何ともないぞ」
「でも、蹴り飛ばされたとき、情けない声で『グゲェー!』と、声を出したじゃないか」
「いや、その、あれはだな、馬がおいらを踏んづけそうになったから、『ふざけるな!』と、馬に怒鳴ってやったんだ」
「それじゃあ、目玉を白黒させていたのは、どういう事だい?」
「ああ、あれはだな、馬の奴を『このやろー!』と、睨みつけてやったんだ」
「それじゃ、さっき起き上がったとき、よろよろしていたのは?」
「ああ、あれはだな、生意気な馬の奴を、蹴飛ばそうとしてたんだよ」
「・・・はい、はい」
 負けず嫌いのアマガエルに、友だちのアカガエルも、あきれてしまいました。


 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

負けず嫌いのアマガエル

 

むかしむかし、あるところに、とてもヘソがりのアマガエルがいました。
 ある
こと、アマガエルがともだちのアカガエルとあそんでいると、突然とつぜんうまのひづめのおとちかづいてきました。
「あっ、アマガエルくん! こっちに
うまはしってるよ。はやげないと、ばされてしまうよ」
 しかしアマガエルは、
むねるといばっていました。
「ははーん、
弱虫よわむしだな。たかが、うまぐらいでげるものか。でも、おまえこわかったらげるといいよ」
「このヘソ
がり! 勝手かってにしろ!」
 アカガエルはそう
うと、みちばたのくさむらへとみました。
 するとそこへ、
うまがものすごいきおいではしってきたのです。
「わぁ、わぁ、
なにはやさだ!」
 アマガエルも、あわてて
げようとしましたが、うまのひづめにっかけられて、
「グゲェーーーー!」
と、
悲鳴ひめいげながらとおくのほうばされてしまいました。
「おーい、
大丈夫だいじょうぶかい!」
 アカガエルが
心配しんぱいしてくさむらからくと、アマガエルはおおきな目玉めだま白黒しろくろさせて、まわしています。
「ねえ。だから、
はやげようとったのに」
 ところがアマガエルは、よろよろしながらも
威張いばっていました。
なにがだ? おいらは、なんともないぞ」
「でも、
ばされたとき、なさけないこえで『グゲェー!』と、こえしたじゃないか」
「いや、その、あれはだな、
うまがおいらをんづけそうになったから、『ふざけるな!』と、うま怒鳴どなってやったんだ」
「それじゃあ、
目玉めだま白黒しろくろさせていたのは、どういうだい?」
「ああ、あれはだな、
うまやつを『このやろー!』と、にらみつけてやったんだ」
「それじゃ、さっき
がったとき、よろよろしていたのは?」
「ああ、あれはだな、
生意気なまいきうまやつを、蹴飛けとばそうとしてたんだよ」
「・・・はい、はい」
 
けずぎらいのアマガエルに、ともだちのアカガエルも、あきれてしまいました。

 

おしまい

 
 

 
 
 
 
 
 
 
A p p   F o r   P h o n e
  • Android
  •   
  • iOS

App 4.0 ↓
A p p   F o r   P h o n e
  • Android
  •   
  • iOS 4.3