章4-第9

章4-第9

 

聴:

 

 

スズメがお米を食べる理由

 

むかしむかし、石堂寺と言うお寺の仁王さまが門の前に立っていると、一羽のカリが飛んで来て言いました。

「大変、大変! 仁王さま、小鳥たちの親が病気になってしまいました!」
「何だって! ではすぐに、子どもの小鳥たちに知らせよ!」
 そして、知らせを受けたスズメの子どもは、
「それは大変だ!」
と、慌てて親の所へ飛んで帰って親の看病をしました。
 おかげで親の病気は良くなり、親は死ななくてすんだのです。
 ところが知らせを受けたツバメは、
「すぐに帰って来いと言われても、こんな格好ではね」
と、自分の身なりを気にして化粧に時間をかけたため、親の病気は悪くなって親は死んでしまいました。
 そして同じように知らせを受けたコウモリは、
「今、遊んでいるところだから」
と、親の所へ帰ろうともしなかったのです。

 さて、その事を知った仁王さまは、
「親孝行なスズメは、とても感心だ。これからは、おいしい物を食べて暮らすように」
と、人間と同じ様にお米を食べる事を許したのです。
 しかし、遅れてしまったツバメたちには、
「親の一大事に遅れるとはけしからん」
と、 スズメの様にお米を食べる事は許さず、稲が実る頃になると遠い国へ行くようにと命令したのです。
 そして、遊びほうけて帰ろうともしなかったコウモリには、
「お前のような奴は、顔も見たくない! 一生暗い所で生活していろ!」 
と、昼間は暗い洞窟に隠れて、夜になってからこっそり外へ出るようにと命じたのです。


 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

スズメがお米を食べる理由

 

むかしむかし、石堂いしどうてらうおてら仁王におうさまがもんまえっていると、いちのカリがんでいました。
大変たいへん大変たいへん! 仁王におうさま、小鳥ことりたちのおや病気びょうきになってしまいました!」
なにだって! ではすぐに、どもの小鳥ことりたちにらせよ!」
 そして、
らせをけたスズメのどもは、
「それは
大変たいへんだ!」
と、
あわてておやところんでかえっておや看病かんびょうをしました。
 おかげで
おや病気びょうきくなり、おやななくてすんだのです。
 ところが
らせをけたツバメは、
「すぐに
かえっていとわれても、こんな格好かっこうではね」
と、
自分じぶんなりをにして化粧けしょう時間じかんをかけたため、おや病気びょうきわるくなっておやんでしまいました。
 そして
おなじようにらせをけたコウモリは、
いまあそんでいるところだから」
と、
おやところかえろうともしなかったのです。

 さて、その
ことった仁王におうさまは、
親孝行おやこうこうなスズメは、とても感心かんしんだ。これからは、おいしいものべてらすように」
と、
人間にんげんおなさまにおこめべることゆるしたのです。
 しかし、
おくれてしまったツバメたちには、
おや一大事いちだいじおくれるとはけしからん」
と、 スズメの
ようにおこめべることゆるさず、いねみのころになるととおくにくようにと命令めいれいしたのです。
 そして、
あそびほうけてかえろうともしなかったコウモリには、
「お
まえのようなやつは、かおたくない! 一生いっしょうくらところ生活せいかつしていろ!」 
と、
昼間ひるまくら洞窟どうくつかくれて、よるになってからこっそりそとるようにとめいじたのです。

 

おしまい

 
 

 
 
 
 
 
 
 
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