昔話ー章1ー第13

章1-第 13

 

聴:

 

節分の鬼の恩返し

 

節分の鬼の恩返し

むかしむかし、ある貧乏なおじいさんが、節分の豆まきをしながら思いました。
「福は内と言っても、福の神が家に来る事はない。それならいっそ、今年は鬼を呼んでみよう」
 そしておじいさんは、大声で叫びました。
「鬼は~内! 福は~外!」

 するとその夜、誰かが家の戸を叩きました。
「こんばんは。『鬼は~内』と、鬼を呼んだのはこの家かいのう?」
 なんと、鬼がやって来たのです。
「まさか、本当に鬼が来るとは」
 おじいさんはびっくりしましたが、せっかく来たのを追い返すわけにもいかないので、おじいさんは、なけなしのお金でお酒を買って来ると鬼にふるまいました。
 すると鬼は、とても気分を良くして言いました。
「まさか節分の日に、こんなに良い思いが出来るとはな。
 この礼に、わしがサイコロに化けてやろう。
 じいさんは賭場(とば)へ行って、こっそりサイコロをすり替えるんじゃ。
 じいさんが勝つ様に、してやるからな」
 そこでおじいさんは言われた通りに鬼が化けたサイコロを持って、賭場へと出かけました。
 そしておじいさんが賭場で半に賭ければ、鬼のサイコロは奇数の目を出してくれるし、おじいさんが丁に賭ければ、鬼のサイコロは偶数の目を出してくれるのです。
 おかげでおじいさんは、一晩で大金持ちになりました。

 さて、大金持ちになって幸せに暮らしたおじいさんですが、やがて寿命を迎えて死んでしまいました。
 そして地獄行きか天国行きかを決める為にえんま大王に呼び出されたのですが、鬼のサイコロでインチキをした事がえんま大王にばれてしまい、おじいさんは地獄へ送られる事になったのです。
 地獄へ落とされてがっかりするおじいさんの前に、あの時の鬼が現れて言いました。
「じいさん、すまんかったな。
 本当なら天国行きなのに、わしがサイコロに化けた事がえんまさまにばれてしまって。
 でも、安心しろ。
 釜ゆでの時は火を加減して、ちょうどいい湯加減にしてやるからな。
 そして針の山を歩く時は、こっそりと鉄のわらじをはかせてやるからな」
 鬼のおかげで、おじいさんは釜ゆでにされても、針の山を歩かされても平気でした。
 そして、ちっとも苦しまないおじいさんに気がついたえんま大王は、
「うむ。釜ゆでにされても針の山を歩いても平気とは、何とも不思議な人間がいるものだ。
 しかし、地獄を苦しまない者が地獄にいては、他の罪人に示しがつかぬ。
 誰か、あのじいさんを極楽へ連れて行け」
と、鬼に命じて、おじいさんを天国へ追い出したそうです。

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

節分の鬼の恩返し

 

節分の鬼の恩返し

むかしむかし、ある貧乏びんぼうなおじいさんが、節分せつぶんの豆まめまきをしながら思おもいました。

「福ぶくは内うちと言いっても、福ふくの神かみが家いえに来くる事ことはない。それならいっそ、今年ことし

は鬼

おにを呼よんでみよう」
 そしておじいさんは、
大声おおごえで叫さけびました。
「
鬼おには~内ない! 福ぶくは~外がい!」

 するとその
夜よる、誰だれかが家いえの戸とを叩はたきました。
「こんばんは。『
鬼おには~内ない』と、鬼おにを呼よんだのはこの家いえかいのう?」
 なんと、
鬼おにがやって来きたのです。
「まさか、
本当ほんとうに鬼おにが来くるとは」
 おじいさんはびっくりしましたが、せっかく
来きたのを追おい返かえすわけにもいかないので、おじいさんは、なけなしのお金かねでお酒さけを買かって来くると鬼おににふるまいました。
 すると
鬼おには、とても気分きぶんを良よくして言いいました。
「まさか
節分せつぶんの日ひに、こんなに良よい思おもいが出来できるとはな。
 この
礼れいに、わしがサイコロに化ばけてやろう。
 じいさんは
賭場とば(とば)へ行いって、こっそりサイコロをすり替かえるんじゃ。
 じいさんが
勝かつ様ように、してやるからな」
 そこでおじいさんは
言いわれた通とおりに鬼おにが化ばけたサイコロを持もって、賭場とばへと出でかけました。
 そしておじいさんが
賭場とばで半はんに賭かければ、鬼おにのサイコロは奇数きすうの目めを出だしてくれるし、おじいさんが丁ひのとに賭かければ、鬼おにのサイコロは偶数ぐうすうの目めを出だしてくれるのです。
 おかげでおじいさんは、
一いち晩ばんで大金持おおがねもちになりました。

 さて、
大金持おおがねもちになって幸しあわせに暮くらしたおじいさんですが、やがて寿命じゅみょうを迎むかえて死しんでしまいました。
 そして
地獄じごく行いきか天国てんごく行いきかを決きめる為ためにえんま大王だいおうに呼よび出だされたのですが、鬼おにのサイコロでインチキをした事ことがえんま大王だいおうにばれてしまい、おじいさんは地獄じごくへ送おくられる事ことになったのです。
 
地獄じごくへ落おとされてがっかりするおじいさんの前まえに、あの時ときの鬼おにが現あらわれて言いいました。
「じいさん、すまんかったな。
 
本当ほんとうなら天国てんごく行いきなのに、わしがサイコロに化ばけた事ことがえんまさまにばれてしまって。
 でも、
安心あんしんしろ。
 
釜がまゆでの時ときは火ひを加減かげんして、ちょうどいい湯ゆ加減かげんにしてやるからな。
 そして
針はりの山やまを歩あるく時ときは、こっそりと鉄てつのわらじをはかせてやるからな」
 
鬼おにのおかげで、おじいさんは釜がまゆでにされても、針はりの山やまを歩あるかされても平気へいきでした。
 そして、ちっとも
苦くるしまないおじいさんに気きがついたえんま大王だいおうは、
「うむ。
釜がまゆでにされても針はりの山やまを歩あるいても平気へいきとは、何なんとも不思議ふしぎな人間にんげんがいるものだ。
 しかし、
地獄じごくを苦くるしまない者ものが地獄じごくにいては、他たの罪人ざいにんに示しめしがつかぬ。
 
誰だれか、あのじいさんを極楽ごくらくへ連つれて行いけ」


と、鬼おにに命めいじて、おじいさんを天国てんごくへ追おい出だしたそうです。

 

 

おしまい

 

 

 

NHẬN XÉT

 
 

 
 
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