今シーズン流行したインフルエンザウイルスのおよそ6割は、遺伝子が変異してワクチンが効きにくくなっていたとする報告を国立感染症研究所がまとめました。
専門家は、患者数が200万人前後となる週が続くなど、例年にないほど感染が拡大した要因の1つとみています。
国立感染症研究所は、毎年インフルエンザのワクチンの効果を調べていて、ことしも主に流行したA香港型のウイルス80株について、ワクチンでどの程度体内での増殖を抑えられるか分析しました。
その結果、64%に当たる51株ではウイルスの増殖を一定の基準以上防げず、「ワクチンの効果が低下していると考えられる」と判定されたということです。
国立感染症研究所によりますと、ウイルスの遺伝子が変異しワクチンと合わなくなったためだということです。
今シーズンのインフルエンザの流行では、1月に3週連続で患者数が200万人前後に上るなど例年にないほど感染が拡大し、病院などでの集団感染も相次ぎました。
国立感染症研究所の小田切孝人センター長は、「ワクチンの効果が低下していたとみられることが、今シーズン感染が拡大した要因の1つだろう。来シーズンはより効果の高いワクチンを供給できるように検討していきたい」と話しています。