輸送艦と釣り船の衝突事故で報告書(2月9日 10時29分)
去年、広島県沖の瀬戸内海で自衛隊の輸送艦と釣り船が衝突し、釣り船の2人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は2隻が接近するなか、釣り船が輸送艦寄りにかじを切ったため、衝突した可能性が高いとする報告書を公表しました。
一方で輸送艦がより早く速度を落とすなどしていれば、事故は防げた可能性があると指摘しています。
去年1月、広島県沖の瀬戸内海で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突し、釣り船が転覆して2人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は9日、報告書を公表しました。
それよりますと事故当時、2隻はともに南下していて輸送艦が右側、釣り船が左側を航行しながら接近するかたちとなりました。
輸送艦は釣り船を先に行かせようと衝突のおよそ1分前から段階的に速度を落としましたが、釣り船が輸送艦寄りに右にかじを切ったため、2隻がさらに近づき衝突した可能性が高いとしています。
釣り船が直前にかじを切った理由について、報告書は右の方向にある釣り場に向かおうとした可能性を指摘していますが、船長が死亡しており、解明できなかったとしています。
一方で輸送艦がより早い段階で速度を落とすなど、さらに余裕を持って対応していれば、事故は防げた可能性があると指摘しています。運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は、「社会的関心が高い事故であり、できるだけ早く公表できるよう努めた。再発防止策の周知に努めたい」と話しています。