第5

章3-第5

 

聴:

 

 

わらびの恩

 

むかしむかし、大きなヘビが昼寝をしていると、不運な事に土の中から茅(かや)が芽を出して、鋭くとがった先でヘビの身体を貫き通してしまったのです。

わらびの恩

 やがて目を覚ましたヘビは、
「あぁーーっ、よく寝たな。さて、お昼ご飯にカエルでも食べに行くか」
と、前に進もうとしたのですが、茅に体を貫かれているので、身体が前に進みません。
「あれ? おかしいなあ?」
 そこで自分の身体を見て、ようやく自分の身体が茅に貫き通されている事を知ったのです。

わらびの恩

「わあぁぁ! これは大変だ!」
 ヘビは尻尾をバタバタさせたり、身体をクネクネしたりしましたが、どう頑張っても、茅から身体が抜けません。
「どうしよう? このまま動けないと、飢え死にしてしまうよ」

わらびの恩


 ヘビがほとほと困っていると、ちょうどヘビのお腹の下あたりから、可愛いワラビが出てきました。

わらびの恩

 ワラビは、ヘビが困っているのを見ると、
「ヘビさん、ヘビさん、ぼくが身体を持ち上げてあげるから、もう少しの我慢だよ」
と、言って、ヘビの身体をどんどん持ち上げていきました。

わらびの恩

 こうしてヘビの身体は、突き刺さっていた茅からスポンと抜けたのです。
 身体が自由になったヘビは、大喜びです。
「ありがとう、ワラビさん。本当にありがとう」
 それからヘビはワラビを大切にするようになりました。

わらびの恩

 そして、ヘビが人間を襲うときに、人間が、
♪ヘビよ、ヘビ
♪茅畑(かやばたけ)に昼寝して
♪ワラビに助けてもらった恩を忘れたか?
♪もしも噛んだりしたならば、ワラビを全部取ってしまうぞ
と、唱えると、ヘビはワラビの恩を思い出して、道を開けてくれるのだそうです。 

 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

わらびの恩

 

むかしむかし、おおきなヘビが昼寝ひるねをしていると、不運ふうんことなかからかや(かや)がして、するどくとがったさきでヘビの身体しんたいつらぬとおしてしまったのです。

わらびの恩

 やがてましたヘビは、
「あぁーーっ、よく
たな。さて、おひるはんにカエルでもべにくか」
と、
まえすすもうとしたのですが、ちがやからだつらぬかれているので、身体しんたいまえすすみません。
「あれ? おかしいなあ?」
 そこで
自分じぶん身体しんたいて、ようやく自分じぶん身体しんたいちがやつらぬとおされていることったのです。

わらびの恩

「わあぁぁ! これは大変たいへんだ!」
 ヘビは
尻尾しっぽをバタバタさせたり、身体しんたいをクネクネしたりしましたが、どう頑張がんばっても、ちがやから身体しんたいけません。
「どうしよう? このまま
うごけないと、じににしてしまうよ」

わらびの恩


 ヘビがほとほとこまっていると、ちょうどヘビのおなかしたあたりから、可愛かわいいワラビがてきました。

わらびの恩

 ワラビは、ヘビがこまっているのをると、
「ヘビさん、ヘビさん、ぼくが
身体しんたいげてあげるから、もうすこしの我慢がまんだよ」
と、
って、ヘビの身体しんたいをどんどんげていきました。

わらびの恩

 こうしてヘビの身体しんたいは、さっていたちがやからスポンとけたのです。
 
身体しんたい自由じゆうになったヘビは、だいよろこびです。
「ありがとう、ワラビさん。
本当ほんとうにありがとう」
 それからヘビはワラビを
大切たいせつにするようになりました。

わらびの恩

 そして、ヘビが人間にんげんおそうときに、人間にんげんが、
♪ヘビよ、ヘビ
ちがやはたけ(かやばたけ)に昼寝ひるねして
♪ワラビに
たすけてもらったおんわすれたか?
♪もしも
んだりしたならば、ワラビを全部ぜんぶってしまうぞ
と、
となえると、ヘビはワラビのおんおもして、みちけてくれるのだそうです。 

 

おしまい

 
 
 
 
 
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