第6

章2-第6

 

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お銀と小金物語

 

むかしむかし、金沢(かなざわ)に、お銀(おぎん)と小金(こきん)という仲の良い姉妹がいました。
 でも、その姉妹は腹違いの姉妹で、それぞれに産んでくれたお母さんが違います。
 姉のお銀の母親はお銀が小さい頃に死んでしまい、妹の小金の母親はお銀の父親と結婚してから小金を生んだのです。
 そして新しい母親は自分が産んだ小金ばかり可愛がって、血のつながっていないお銀には冷たくあたります。
 母親は、お銀が不幸になっても、小金さえ幸せなら良いと思っていました。

 ある日の事、お銀の父親が仕事で江戸(えど→東京都)に行く事になりました。
 母親は良いチャンスだと思い、お銀を山へ連れて行って殺してやろうと思ったのです。
 そうとは知らない、お銀と小金は、
「わあ、きれいなお花だこと」
「こっちにも、きれいなお花が」
と、言いながら母親に連れられるまま、どんどんどんどんと山奥へ入って行きました。
 そして母親はお銀に気づかれない様に、小金だけを連れて家へ帰ってしまいました。
 お銀がふと気がつくと、小金も母親も見当たりません。
 悲しくなったお銀は、
「かあさま! 小金ちゃん!」
と、泣きながら、帰り道を探しました。
 そしてその日の夜遅く、お銀は泥だらけになりながらも家に帰って来ました。
 心配していた小金は、涙を流して喜び、
「よかったわ、よかったわ」
と、言いながら心の中で、
(ごめんね、お銀ちゃん。かあさまを許してやってね)
と、謝るのでした。
 ところが母親は、くやしそうな顔で、
「道に迷うなんて、馬鹿な子だよ」
と、言うと、また次の方法を考えていました。

 それから数日後のある日、母親はまたお銀を殺そうと、下男(げなん)に犀川(さいがわ)の岸辺に大きな穴を掘らせました。
 そして、嫌がるお銀を無理矢理引っ張って行って、その穴の中に突き落したのです。
「さあ、今度こそ、お前も終わりだよ!」
 母親はそう言うと、そのまま帰ってしまいました。
 すると、この様子を見ていた小金は、その穴に近づいて、
「お銀ちゃん! 大丈夫!」
と、呼びかけました。
 すると穴の中から、
「小金ちゃん助けて! 水が入ってくるの。どんどん深くなってくるの」
と、お銀の声がします。
 でも、子どもの小金には、どうする事も出来ません。
 やがて、お銀の声は全く聞こえなくなってしまいました。
「お銀ちゃん! お銀ちゃん! かあさまを許してあげてね。その代わりにわたしも、お銀ちゃんのそばへ行くから」
 小金はそう言うと、自分も深い穴の中に飛び込んでしまいました。

 今でも法年寺(ほうねんじ)には、この二人のお墓があるそうです。

 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

お銀と小金物語

むかしむかし、金沢かなざわ(かなざわ)に、お銀ぎん(おぎん)と小金こがね(こきん)という仲なかの良よい姉妹しまいがいました。
 でも、その
姉妹しまいは腹違はらちがいの姉妹しまいで、それぞれに産うんでくれたお母かあさんが違ちがいます。
 
姉あねのお銀ぎんの母親ははおやはお銀ぎんが小ちいさい頃ころに死しんでしまい、妹いもうとの小金こがねの母親ははおやはお銀ぎんの父親ちちおやと結婚けっこんしてから小金こがねを生うんだのです。
 そして
新あたらしい母親ははおやは自分じぶんが産うんだ小金こがねばかり可愛かわいがって、血ちのつながっていないお銀ぎんには冷つめたくあたります。
 
母親ははおやは、お銀ぎんが不幸ふこうになっても、小金こがねさえ幸しあわせなら良よいと思おもっていました。

 ある
日ひの事こと、お銀ぎんの父親ちちおやが仕事しごとで江戸えど(えど→東京とうきょう都と)に行いく事ことになりました。
 
母親ははおやは良よいチャンスだと思おもい、お銀ぎんを山やまへ連つれて行いって殺ころしてやろうと思おもったのです。
 そうとは
知しらない、お銀ぎんと小金こがねは、
「わあ、きれいなお
花はなだこと」
「こっちにも、きれいなお
花はなが」
と、
言いいながら母親ははおやに連つれられるまま、どんどんどんどんと山奥やまおくへ入はいって行いきました。
 そして
母親ははおやはお銀ぎんに気きづかれない様ように、小金こがねだけを連つれて家いえへ帰かえってしまいました。
 お
銀ぎんがふと気きがつくと、小金こがねも母親ははおやも見当みあたりません。
 
悲かなしくなったお銀ぎんは、
「かあさま! 
小金こがねちゃん!」
と、
泣なきながら、帰かえり道みちを探さがしました。
 そしてその
日ひの夜よる遅おそく、お銀ぎんは泥どろだらけになりながらも家いえに帰かえって来きました。
 
心配しんぱいしていた小金こがねは、涙なみだを流ながして喜よろこび、
「よかったわ、よかったわ」
と、
言いいながら心こころの中なかで、
(ごめんね、お
銀ぎんちゃん。かあさまを許ゆるしてやってね)
と、
謝あやまるのでした。
 ところが
母親ははおやは、くやしそうな顔かおで、
「
道みちに迷まようなんて、馬鹿ばかな子こだよ」
と、
言いうと、また次つぎの方法ほうほうを考かんがえていました。

 それから
数すう日にち後ごのある日ひ、母親ははおやはまたお銀ぎんを殺ころそうと、下男げなん(げなん)に犀川さいがわ(さいがわ)の岸辺きしべに大おおきな穴あなを掘ほらせました。
 そして、
嫌いやがるお銀ぎんを無理矢理むりやり引ひっ張ぱって行いって、その穴あなの中なかに突つき落おとしたのです。
「さあ、
今度こんどこそ、お前まえも終おわりだよ!」
 
母親ははおやはそう言いうと、そのまま帰かえってしまいました。
 すると、この
様子ようすを見みていた小金こがねは、その穴あなに近ちかづいて、
「お
銀ぎんちゃん! 大丈夫だいじょうぶ!」
と、
呼よびかけました。
 すると
穴あなの中なかから、
「
小金こがねちゃん助たすけて! 水みずが入はいってくるの。どんどん深ふかくなってくるの」
と、お
銀ぎんの声こえがします。
 でも、
子こどもの小金こがねには、どうする事ことも出来できません。
 やがて、お
銀ぎんの声こえは全まったく聞きこえなくなってしまいました。
「お
銀ぎんちゃん! お銀ぎんちゃん! かあさまを許ゆるしてあげてね。その代かわりにわたしも、お銀ぎんちゃんのそばへ行いくから」
 
小金こがねはそう言いうと、自分じぶんも深ふかい穴あなの中なかに飛とび込こんでしまいました。

 
今いまでも法ほう年ねん寺てら(ほうねんじ)には、この二に人にんのお墓はかがあるそうです。
 

おしまい

 

 
 
 
 
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