第11

章2-第11

 

聴:

 

 

爺婆かぼちゃ

 

むかしむかし、ある村にうつくしい娘が一人で住んでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが欲しいなあ」
と、いつも思っていました。

 ある日の事、娘がカボチャ畑に立っていると、裏山からガラガラドスン! と、一匹の
が落ちて来ました。
 鬼は頭や腰を強く打ったので、
「痛い、痛い、痛いよー」
と、泣いていましたが、村人たちは怖くて誰も鬼のそばへ寄りません。
 でも娘だけが赤い帯(おび)をビリビリと裂いて、痛いところに巻いてあげたのです。
 それから家へ連れて行き、鬼にごちそうをたくさん食べさせてあげました。
 すると鬼は、
「これはうまい、うまい」
と、腹いっぱい食べてから、
「お前はなかなか親切なよい娘じゃ。このこづちをお前にやるから、これでかぼちゃを叩いてみるがよい」
と、言ったのです。
「ありがとう」
 娘は鬼にお礼を言うと急いでかぼちゃ畑へ行って、鬼の言った様に一番大きなかぼちゃをそっと叩くと、
 ボコン!
と、音がしてかぼちゃが二つに割れて、何と中からおじいさんとおばあさんがニコニコ笑いながら出て来たのです。
 そして、
「すまないが、わしらをお前の家においてくれんかのう?」
と、言いました。
 もちろん、娘は大喜びです。
 それからは、おじいさんとおばあさんと三人仲良く暮したという事です。

 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

爺婆かぼちゃ

むかしむかし、あるむらにうつくしいむすめいちにんんでいました。
「ああ、おじいさんとおばあさんが
しいなあ」
と、いつも
おもっていました。

 ある
ことむすめがカボチャはたけっていると、裏山うらやまからガラガラドスン! と、いちひきおにちてました。
 
おにあたまこしつよったので、
いたい、いたい、いたいよー」
と、
いていましたが、村人むらびとたちはこわくてだれおにのそばへりません。
 でも
むすめだけがあかおび(おび)をビリビリといて、いたいところにいてあげたのです。
 それから
いえれてき、おににごちそうをたくさんべさせてあげました。
 すると
おには、
「これはうまい、うまい」
と、
はらいっぱいべてから、
「お
まえはなかなか親切しんせつなよいむすめじゃ。このこづちをおまえにやるから、これでかぼちゃをたたいてみるがよい」
と、
ったのです。
「ありがとう」
 
むすめおににおれいうといそいでかぼちゃはたけって、おにったよう一番いちばんおおきなかぼちゃをそっとたたくと、
 ボコン!
と、
おとがしてかぼちゃがふたつにれて、なんなかからおじいさんとおばあさんがニコニコわらいながらたのです。
 そして、
「すまないが、わしらをお
まえいえにおいてくれんかのう?」
と、
いました。
 もちろん、
むすめだいよろこびです。
 それからは、おじいさんとおばあさんと
さんにん仲良なかよくらしたということです。

おしまい

 
 
 
 
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