昔話ー章1ー第11

章1-第 11

 

聴:

 

おなかにわすれられたかさ

 

お腹に忘れられたかさ

むかしむかし、とてもお酒好きな男が町でお酒を飲んでの帰り道、急にのどが渇いて水を飲みたくなりました。
「ああ、喉が渇いたな。どこかに、水はないかな?」
 辺りを見回すと、一軒の家の前に水の入ったおけが置いてありました。
 それはとても汚い水で、蚊(カ)の幼虫のボウフラがたくさんわいていましたが、
「もう、我慢できん!」
と、酒飲みはおけの中に首を突っ込んで、その汚い水をガブガブと飲んだのです。
「あー、喉の渇きが治まった」
 ところがお腹の中のボウフラがウヨウヨと動くので、気持ちが悪くなって家に帰っても寝る事が出来ません。
「弱ったなあ」
 酒飲みが青い顔で寝転んでいると、友だちがやって来ました。
「どうした? そんなに、気持ちの悪そうな顔をして」
 酒飲みが訳を話すと、友だちが言いました。
「それなら、
金魚を飲めばいい。ボウフラは金魚のエサだから、金魚がみんな食べてくれるさ」
「そうか、その手があったか」
 酒飲みはさっそく、金魚を一匹飲み込みました。
 ところが、お腹に入った金魚がボウフラを追い回すので、酒飲みは余計に気持ちが悪くなりました。
「ちえっ、つまらん事を教えやがって」
 酒飲みが気持ち悪そうに寝ていると、別の友だちがやって来て言いました。
「それなら、鳥を飲めばいい。鳥なら、ボウフラも金魚も食べてくれるさ」
「そうか、その手があったか」
 酒飲みは、さっそく鳥を飲み込みました。
 鳥はボウフラも金魚も食べてくれましたが、食後の運動にお腹の中でバタバタと暴れるので、酒飲みはお腹が痛くてたまりません。
「ちえっ、つまらん事を教えやがって」
 酒飲みは青い顔で、鳥が暴れない様にお腹を押さえていました。
 するとそこへ、また別の友だちがやって来て言いました。
「それなら、おれのおじさんを呼んでやろう。おれのおじさんは、鳥を捕まえる名人だ」
「そうか、その手があったか」
 そこで酒飲みは鳥を捕まえる名人のおじさんに、お腹の中へ入ってもらう事にしました。
 おじさんはいつもの様にかさをかぶり、鳥を捕まえるさおを持って酒飲みのお腹の中へ入って行きました。
 さすがは、名人です。
 あっという間に鳥を捕まえると、外へ出て来ました。
 ところがうっかりかさを忘れてしまったので、酒飲みのお腹はガサガサして、ますます気持ちが悪くなったという事です。

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

おなかにわすれられたかさ

 

お腹に忘れられたかさ

むかしむかし、とてもお酒さけ好すきな男おとこが町まちでお酒さけを飲のんでの帰かえり道みち、急きゅうにのどが渇かわいて水みずを飲のみたくなりました。

「ああ、喉のどが渇かわいたな。どこかに、水みずはないかな?」
 
辺あたりを見回みまわすと、一いち軒けんの家いえの前まえに水みずの入はいったおけが置おいてありました。
 それはとても
汚きたない水みずで、蚊かの幼虫ようちゅうのボウフラがたくさんわいていましたが、
「もう、
我慢がまんできん!」
と、
酒飲さけのみはおけの中なかに首くびを突つっ込こんで、その汚きたない水みずをガブガブと飲のんだのです。
「あー、
喉のどの渇かわきが治おさまった」
 ところがお
腹はらの中うちのボウフラがウヨウヨと動うごくので、気持きもちが悪わるくなって家いえに帰かえっても寝ねる事ことが出来できません。
「
弱よわったなあ」
 
酒飲さけのみが青あおい顔かおで寝転ねころんでいると、友ともだちがやって来きました。
「どうした? そんなに、
気持きもちの悪わるそうな顔かおをして」
 
酒飲さけのみが訳わけを話はなすと、友ともだちが言いいました。
「それなら、
金魚きんぎょを飲のめばいい。ボウフラは金魚きんぎょのエサだから、金魚きんぎょがみんな食たべてくれるさ」
「そうか、その
手てがあったか」
 
酒飲さけのみはさっそく、金魚きんぎょを一いち匹ひき飲のみ込こみました。
 ところが、お
腹なかに入はいった金魚きんぎょがボウフラを追おい回まわすので、酒飲さけのみは余計よけいに気持きもちが悪わるくなりました。
「ちえっ、つまらん
事ことを教おしえやがって」
 
酒飲さけのみが気持きもち悪わるそうに寝ねていると、別べつの友ともだちがやって来きて言いいました。
「それなら、
鳥とりを飲のめばいい。鳥とりなら、ボウフラも金魚きんぎょも食たべてくれるさ」
「そうか、その
手てがあったか」
 
酒飲さけのみは、さっそく鳥とりを飲のみ込こみました。
 
鳥とりはボウフラも金魚きんぎょも食たべてくれましたが、食後しょくごの運動うんどうにお腹はらの中うちでバタバタと暴あばれるので、酒飲さけのみはお腹なかが痛いたくてたまりません。
「ちえっ、つまらん
事ことを教おしえやがって」
 
酒飲さけのみは青あおい顔かおで、鳥とりが暴あばれない様ようにお腹なかを押おさえていました。
 するとそこへ、また
別べつの友ともだちがやって来きて言いいました。
「それなら、おれのおじさんを
呼よんでやろう。おれのおじさんは、鳥とりを捕つかまえる名人めいじんだ」
「そうか、その
手てがあったか」
 そこで
酒飲さけのみは鳥とりを捕つかまえる名人めいじんのおじさんに、お腹はらの中うちへ入はいってもらう事ことにしました。
 おじさんはいつもの
様ようにかさをかぶり、鳥とりを捕つかまえるさおを持もって酒飲さけのみのお腹はらの中うちへ入はいって行いきました。
 さすがは、
名人めいじんです。
 あっという
間まに鳥とりを捕つかまえると、外そとへ出でて来きました。


 ところがうっかりかさを忘わすれてしまったので、酒飲さけのみのお腹なかはガサガサして、ますます気持きもちが悪わるくなったという事ことです。

おしまい

 

 

 

NHẬN XÉT

 
 

 
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