アナン
: あや、新しい靴下、なかったっけ?
あや
: クローゼットの中になければ、もうないよ
: 出張、そんなに長いの?
アナン
: わからない
: いい麺が作れる工場を見つけるまで帰れないから
あや
: 大変ね
: それじゃ、土曜日に行くはずだった不動産屋さん、無理だね
アナン
: そうだな
: ごめん
: 悪いけど、あや一人で行ってくれるかな
あや
: えー、サラを抱っこして一人で行けっていうの?
アナン
: 僕だって、一緒に行けるものならそうしたいよ
: でも、このマンションの契約更新前に引っ越すなら、今週中に新しいところを決めないと
: サラが生まれて、ここじゃ狭いだの、不便だの言ってたのはあやなんだし
あや
: そりゃそうだけど、一人じゃ決めようがないよ
: アナンだって、庭があるマンションがいいって言ってたじゃない
アナン
: うん
: 悪いとは思っているよ
: でもあやが一人で行くよりほかないでしょ?
あや
: わかった
: 不動産屋さんに何て言えばいい?
: 決めるに際しての条件は?
アナン
: まず、1階で庭があること
: これは譲れないな
: サラと一緒にパクチーを育てるんだ
あや
: 私は南向きで日当たりがいい部屋がいい
アナン
: 次に、会社からドアツードアで50分以内であること
: それから、耐震性が高いこと
あや
: アナンは地震恐怖症だからね
: わかった
アナン
: 留守の間、頼むよ
あや
: 任せといて